あのかわいい人気キャラクター、「スヌーピー」の
モデル犬として有名なビーグル。
おどけた表情・愛嬌たっぷりのポーズで、近年、
愛好者が増加の一途をたどっている人気の犬種です。
しかし、そのコンパクトな体で、実は立派な
ハウンド犬(猟獣犬)
だという言うことをご存知でしょうか。
名前の「ビーグル」も、フランス語で”小さい”という意味を表すくらい、
セントハウンド(嗅覚ハウンド)の中では最も小さい犬種です。
そんなビーグルですが、優れた嗅覚を生かし、16~17世紀の
イギリス、エリザベス女王の時代から、
ウサギ狩りのパートナー
として活躍してきました。
現在は、アメリカ・イギリス・日本などで、発見・追跡のみをしていますが、
野うさぎ猟愛好家たちの右腕として活躍しています。
また、その優れた嗅覚を買われて、成田空港などで、持ち込み禁止の
物品を嗅ぎ分ける「
検疫探知犬」としても活躍しています。
ビーグルの魅力はこれだけではありません。
ビーグルの声は、他の犬種と違い、
「
吠える」では「
鳴く」と表現されるくらい美しい「
バリトン」
(男性バスとテノールの中間の音域のこと)と言われています。
とても遠くまでよく響く美しい声で、「
森の声楽家」との愛称も持っているほどです。
その生き生きとした個性に魅了され、19世紀後半には
日本にも輸入されるようになり、大変人気のある犬種となりました。
ビーグルは、古い持代から狩猟をするために飼われていました。
歴史はとても古く、紀元前からギリシアでウサギ狩りに使われていた
ハウンド犬の血を引いていると言われています。
エリザベスⅠ世の時代(15~16世紀頃)、ギリシアの小型のハウンド犬と
イギリスのハウンド犬とを交配してビーグルが誕生したと言われています。
当時、イギリスではスポーツとしてウサギ狩りが盛んに行われていてため、
その中でも、ビーグルはとても大切に飼われていました。
優れた嗅覚、動作が機敏、特徴的な声を持つ小柄なビーグルは、
素早い追跡が必要なウサギ狩りにたいへん適していたのです。
(ウサギ狩りは馬などを使わず、歩いて移動する猟でした)
ウサギ猟で活躍していたビーグルは、「
ジェリードッグ(Jerry Dogs)」とも呼ばれていて
捕まえたウサギが、後に
レッドカラント(赤スグリ)ゼリーと一緒に食卓へ
出されたことが由来して、この愛称がつきました。
のちに17世紀頃にアメリカにも輸入され、狩猟犬としてだけでなく、
家庭でも、ペットとして多くの人たちに広く愛されるようになりました。
当時、大小2種類のハウンド犬のうち、小さいタイプが「ビーグル」といわれいて
アメリカでは猟犬タイプと、家庭犬タイプとに分けられて繁殖が行われてきました。
日本には明治時代に輸入され、現在は狩猟犬としてよりも、
ドッグショーや家庭のペットとして大人気の犬種です。
◎体重・体高
ビーグルの原産国はイギリスで、
標準体重は7~12キログラム、標準体高は35cm前後です。
各国によって大きさや外見が違う歴史があるため、
種類の定義はさまざまです。
アメリカの定義では、15インチビーグルは体高33~38cm、
13インチビーグルは体高33cm以下とされています。
15インチよりも大きいサイズは、アメリカでは好まれないようです。
一方、原産国イギリスでは、16インチ(約41cm)まで
認められています。
日本ではJKCにより、理想体高33~40cm、体重は8~14キログラム
と規定されています。
◎毛色・毛質
ビーグルの毛色と言えば、最もポピュラーなのは
トライカラーです。
黒・茶・白の3色が基本色で
ハウンドカラーとも言います。
ハウンドカラーとは、ハウンドドッグ(猟犬)に見られる毛色のことです。
定義ではレバー以外のハウンドカラーならよいと認められ、
足先としっぽの先が白いことも条件にあります。
街ではあまり見かけませんが、
レモンカラーという
オレンジ色に
近いカラーも、最近では人気が出てきています。
トライカラーとは容姿が少し違い、白とレモン色で
ふんわりとした優しい雰囲気をしています。
ビーグルの体毛は、短くつやのある毛質で、
触れてみると、意外に丈夫で強い毛質をしています。
◎声色
「森の声楽家」ビーグルは、愛好者から、全犬種の中で、
「
もっとも美しい声色」との評価を受けています。
ビーグルの群れが一斉に吠え立てながら獲物を追う声は、
まるでベルの音に似た響きだといいます。
◎外観
ビーグルのお顔立ちは、特徴的な垂れ下がった大きな丸い耳、
丸い大きな目に、愛くるしいお顔。
まっすぐ伸びたしっぽで、フリフリしながらこちらへ向かってくる姿は
一度接してみると虜になってしまう人もいるほどです。
ビーグルはとても活発で、好奇心旺盛な性格のため、
ジッとおとなしくしていることはほとんどありません。
遊ぶことも大好きで、狭いサークルの中でも、跳んだり跳ねたり
寝転んでみたりと、とにかく元気いっぱいです。
かけっこやボール遊びも得意で、お散歩の時にはリードを
ぐんぐん引っ張っていき、歩くと言うより走るに近い状態です。
猟犬の本能からか、リードがなければ、全力疾走で
どこまででも走って行ってしまうほどです。
行方不明にならないように、しっかり呼び戻しの訓練をしておく必要がありますね。
また、人や動物と触れ合うことが大好きな犬種なので、
その反面、とても寂しがり屋な一面もあります。
お留守番の時にはひとりぼっちが寂しくて、
後を追っていつまでも吠えてしまうこともあります。
または、寂しさのあまり、とにかく何でもいいから物を
噛んでストレス発散をすることも・・・
小さいころからお留守番に慣れさせておく訓練が必要です。
庭などのお家の外で飼う場合には、吠え声にも気をつけなくてはいけません。
よく吠えるのも、吠える猟犬の本能からきているもので、
人が通る度に激しく吠えることがあります。
しかし、ビーグルは猟犬としての高度な訓練や、家庭犬としての
しつけも難なくこなすことができる、とても頭のよい賢い犬種です。
意思が強く、時おり頑固に思えることもありますが、
やんちゃでお茶目なビーグルはとても魅力的で見ていて本当に飽きません。
集団生活が上手な犬種ですので、多数飼いもできます。
明るく活発でポジティブなビーグルに、日々元気をもらえることは間違いありません。